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冷暖自知

「冷暖自知」(れいだんじち)という禅語があります。

「いくら言葉で冷たさや暖かさの説明を受けても、自分自身が直接的に体験しなければ分からない。また、その体験したところも他人に正確に伝えることはできない。」

という意味です。

禅宗では、自らが体験し、気付き、会得することを大切にしています。

 

私の父親は今年で86歳。

ずいぶんと老いが進んで参りました。

体もなかなか思うように動かせないようで、この春、パーキンソン病と診断されました。

以前は、毎日私の顔を見る度に厳しく叱っていたのですが、最近は急に優しい言葉をかけられるようなりました。

 

私が朝、仕事に行く時、

「大変やなぁ、よう気をつけて行くんやぞ」とか

「体を大切にせえよ」

なんて、今まででは考えられないような言葉がかけられます。

「ちょっと惚けたのかなぁ」とも思いましたがそうでもなさそうです。

計算も速いし、テレビのニュースを見ながら当を得た批評もしています。

 

ある時、

「なんでそんなに優しい言葉をかけてくれるの」と尋ねたところ、

「お前も年が行けば分かる」と返ってきました。

年を召された方はよくこの言葉使います。

 

確かに年を取らなければ分からないんだと思います。

きっと、老い先短い人生と言うことが身にしみて感じているのでしょう。

また、若い頃の苦労や楽しかったこと、そして身体の衰えや身近な人がいなくなるといった淋しさもあって、いままで見えなかったものが見えてくるようになり、もののとらえ方も変わってきたのでしょう。

年を取ると言うことは淋しいことではありますが、その一方で「冷暖自知」、見えなかったものが見えてくるようになり、人間の円熟味が増してくると言って良いのかもしれません。

 

でも、これも本当のところ私自身が年を取らなければ分からないのでしょうが。

 

 

 

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